ふりさけて三日月見れば一目見し人の眉引き思ほゆるかも
詠み人:大伴家持

振り返って空を仰いだ時、細く浮かぶ三日月を見て、
一目見たあの人の細く尾を引くような美しい眉を思い出したよ
ひこぼし妻迎へ船漕ぎ出らし天の河原に霧たてるは
詠み人:山上億良

七夕の歌
夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らぬ恋は苦しきものそ
詠み人:大伴坂上郎女

夏草に覆われた野原に繁み隠れてひっそりと咲く姫百合。
 そんな花同様に人知れぬ密やかな恋は、切なく苦しいばかかりです。
こいまろび恋ひはしねともいちしろく色には出でじ朝顔が花
詠み人:不詳

この想いは、あの朝顔のように色鮮かにありありと表情に出してけないんだ。
まして、あなたにすら知られてはいけない‥
あまりに辛い片恋に苦しみ転げ回って、焦がれ死にしてしまいしいそうだ。

橘の匂へる香かもほととぎす鳴く夜の雨にうつろひぬらむ
詠み人:
橘の香りは、ほととぎすが鳴く雨の夜に消されてしまっているようだ

我が袖は手本通りて濡れぬとも恋忘れ貝取らずは行かじ
詠み人:

私の袖が手首まで濡れてもかまわない。忘れ貝をしっかりと取り持てれば

〜恋歌〜

夏恋歌


こいまろび恋ひはしねともいちしろく色には出でじ朝顔が花
詠み人:不詳

この想いは、あの朝顔のように色鮮かにありありと表情に出してけないんだ。
まして、あなたにすら知られてはいけない‥
あまりに辛い片恋に苦しみ転げ回って、焦がれ死にしてしまいしいそうだ。

万葉恋歌

言に出でて言はばゆゆしみ朝顔のほには咲き出ぬ恋もするかも
詠み人:

言葉に出して言ったりしたら、とても大事な事になりそうだから、
この朝顔のように鮮やな色をあらわしたりはしないよ‥
そういう辛い恋を私はしている。