〜恋歌〜

秋恋歌

秋風に今か今かと紐解きてうら待ち居るに月傾きぬ
詠み人:大伴家持

秋の風に今か今かと別れに結んだ誓いのしるしを、
自分から解いてみたりしてあなたを待ち焦がれいる‥

このしぐれいたくな振りそ我妹子に見せがむために黄葉取りてむ
詠み人:不詳

雨よ‥あまり降らないでおくれ‥‥
可愛い人に見せてあげたいのに、この美しい紅葉を見せたいのだよ

長月のしぐれの雨の山霧のいぶさき我が胸誰を見れば止まむ
詠み人:

秋の山霧のように心が塞いだ私の胸の内は、あなたに逢うまでは晴れそうにない

万葉恋歌

目には見て手には取らえぬ月の内の桂のごとき妹をいかにせむ
詠み人:

月の桂のように、あなたを見ることはできても手に取ることはできない。
いったい、どうしたらこの手に取れるのだろう

秋萩の上に置きたる白露の消かもしなまし恋ひつつあらず
詠み人:弓削皇子

秋の萩の上に置いた白露が消えてしまうように、
このままそっと消えてしまおうか・・こんなに恋苦しむよりは‥

君待つと我が恋ひ居れば我がやどの簾動かし秋の風吹く
詠み人:額田王